前回の励磁電源の実験でセレンを使用した場合が気に入ったので製作してみた。
      結果はやはり予想通り滑らかで柔らかい音が得られた。
      当方の好みの音である。


      製作過程

       
       1 使用した主な部品類

        
  
2 LEAD:LK2

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                                                左:小型スライダック 100V・0.5A
                                                右:シーメンス製セレン 250V・250mA   
        
         電源トランス:200V・300mA(春日無線特注)
             小型トランス:9V・0.5A(デジタル式メーター駆動用))
              小型スライダック: 100V・0.5A (ヤフオクで入手)
          チョークコイル: タムラ・A4006(10H・200mA)2個 
              セレン整流器  シーメンス:250V・250mA
          オイルコンデンサー 6μF+15μF 
               ケース:LEAD・LK2
         デジタル式電圧電流計 200V・10A・・・2個 
        

       2 シャーシーの穴開け終了

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       3 配線終了・完成
 
          回路そのもは極めて簡単なので製作は容易である。

      
         外観  

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                 メーターの表示が途切れているが故障ではなくヘタな撮影のため。
                 前面下の右から2番目のスイッチは平滑回路を1段だけの時と2段の時の
                 切り替えスイッチ。 
                 また出力用キャノンコネクターの上にある2個のフューズホルダーには0.2Aの
                 速断フューズが入っている。

       内部上面

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       内部底面

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        セレンを励磁電源に用いた時の音は整流管を用いた場合とは明らかに異なる。
        ジャズを好まれる方にはセレン使用の穏やかな音に物足りなさを感じるかもしれない。
        いずれ整流管を用いた励磁電源も作ってみる予定である。

        平滑回路を1段だけの時と2段使用の時をスイッチで切り替えられるようにしたが
        結果はあまり違いが判らなかった。
        平滑回路は1段で十分なようなのでいずれ平滑回路1段の簡単な励磁電源を作ってみる。         


追 記: (2022年10月8日・土)

        当ブログ92の実験の結果を得てこのセレンを用いた励磁電源を改造した。

        実験によれば5Hのチョークインプット用のチョークコイルと40μF以上の
        オイルコンデンサー各1個だけでセレンを用いた励磁電源による高域が伸びないという
        不満が解消される。
        
        改造した結果が下記のものである。
        本機は平滑回路2段で製作したものであるが実用上は平滑回路1段で全く問題ない。

        
PA070005

        交換した部品は以下のものである

           平滑回路1段目 
            チョークコイル・・・タムラ MC-5H 
(5H・200mA)
            コンデンサー ・・・シズキ 55μF
           平滑回路2段目(実用上はこの2段目は不用で1段目だけで十分である)
            チョークコイル・・・タムラ A-396 (5H・200mA)
            コンデンサー ・・・シズキ 8μF

        結果は実験の通りで高域の伸びと繊細さが得られるようになった。
        何よりも水銀整流管83を用いた時と比べて音がすぐに出ることは
        ストレスがなくて良い。   
       
        初めての励磁電源としてセレンを用いた回路はチョークコイルとコンデンサーが
        各1個で済むので最も製作が容易である。
        セレンの入手が難しい場合はとりあえず 
SiC SBD を用いて作りセレンが入手
        できたときに交換すればよい。

        
        製作の場合はチョークコイルやコンデンサーを替え音を確かめてから製作を!
           



      スライダックの使用について

    
        ネット上にはスライダックの使用は推奨できないとあるし、
          現にオーディオシステムの中にスライダックを使用している例を見たことがない。
   
          そこでてスライダックを使用した場合と使用しない場合の音の違いを比べてみた。
   
   
          励磁電源はバラックセットを組んだ。
          平滑回路は1段だけであるがハムはほぼない 。
   
          整流にはシーメンス製のセレン(250V・150mA)を
ヒートシンクに取り付けて使用
          電源トランス タンゴ:ST230  (倍電圧用電源トランス)
            チョークコイル タンゴ  CH-12-200D(チョークインプット用)
         オイルコンデンサー 10μF 
            試聴スピーカーはテレフンケン・センターダンパ―のフィールド型スピーカー。
  
         ① スライダックを使用しない場合 

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          電源トランス ST230 の一次側に100Vをかけて
          二次側135V端子を使うとフィールドコイルの励磁電圧は約78Vになるので
          これでスピーカーを鳴らしてみた


           ② スライダック使用の場合

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          電源トランスST230は二次電圧135Vにヒーター用の6.3Vを4個直列と   
          して合計約160Vにして使用。
   
          スライダックで電源トランスの一次側電圧を下げてフィールドコイルの励磁電圧を
          約78Vにして音出しをしてみた。

 
        こうしてスライダック使用と使用しない場合の音を比べてみた。
 
         結果・・・スライダックを使用してもしなくても音の違いは特に感じなかった。
            
当方の駄耳のせいで音の変化を聞き取ることができないのかも知れない。
                    
             以上のような実験でスライダックによる音の劣化はないなどと結論づける
             つもりはない。
             この程度の実験でそんなことができるわけがない。
 
                   励磁電源ではスライダックの影響が顕著に出ないように思えたがアンプだと出るかも。
          
        さらに どなたかのスライダック使用のご報告を待つことにしよう。
            
    
         スライダックを使用するかしないかとか、チョークコイルがチョークインプット用か
       コンデンサーインプット用かよりも励磁電源においては整流方式がセレンか整流管か、
       整流管の場合は管種は何か、またコンデンサーはオイルかフィルムかによる音の
       変化の方が明らかに大きい。
                 
                 ではどうした時が最も音の良い励磁電源かと問われても残念ながら答えられない。
                人の好みは様々なので励磁電源はこの方式がベストですとは言えないのである。
                自分の耳で聞いて好みの音を出す自分にベストの励磁電源を決めるしかない。

 
          ここで改めて記しておくが、
       これまでに行った実験の結果が絶対的なものとは決して思っていない。
       実験方法や条件が異なれば結果もおのずと異なってくるであろう。
           従って 「これまで得られた実験結果はごく小さな参考程度にしか過ぎない」 ということである。
   

       さて私は今後もスライダックを使い続けるつもり。
       小型スライダックの使用は便利さがこの上ない。  でもご使用は自己責任で!


                                                   了